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親父の想い出 ~ ワカサギ釣り編

ある晴れた日、海にの上にかかった橋を家族で車で走っているときに、
嫁「釣りって面白いのか?」という話になり、そこから
嫁「一度 氷に穴をあけて釣るワカサギ釣りがしてみたい」
という話になった。
おいら「昔、行ったことあんでー」
家族「へえー」

そう、道産子であるおいらは 死んだ親父がまだ元気だったころ、家族で たまに
ワカサギ釣りに出かけていた。 石狩川周辺の三日月湖が 冬場に凍り付き、
その上で氷に穴をあけ糸を垂らす、まさに 賢明なるこのページの読者諸兄が
(そんなのいるのか?) マンガやTVで見たことがあるであろうあれである。
まあそれはいい。
その時、おいらの思考は、あのころの想い出に飛んでいた。

それはおいらがまだ小学生ぐらいの頃だったと思う。
冬場の楽しみ、ワカサギ釣りは 普通であれば 簡単によく釣れるし、取れたてのワカサギ
を軽く揚げて食べると、それは小学生にとっても美味なものであった。

その日も 家族(おいらと弟と死んだ親父と母親)で 朝からいそいそと 石狩川近くに
出かけて行った。 母は手製の クロワッサンを昼食に用意してくれたのだが、その日は
あいにく天気が悪かった。 ふきっさらしの 凍った湖の上は ことさら寒く、係りの
おっちゃんが 開けてくれた穴は、ちょっとほっておくと すぐに凍りついてきてしまうほど
だった。(注、ワカサギ釣り場では、おっちゃんがでかいドリルのようなものを持って
客の指定場所に穴をあけてくれるシステムである)
寒さのため 普段はよく釣れるワカサギは 湖底近くに潜んでいたためか(おっちゃんが
そういっていたように記憶している) その日の釣果は芳しくなく、ガタガタ凍えながら
それでも、頑張って糸を垂らしていた。

すると、当時はまだ元気だった親父が、スコップを持ち出し、 周りの雪を 風よけに
積み上げ出した。 エスキモーの家よろしく、雪の壁で周りを囲もうという作戦である。
黙々と 雪を積み上げ ついには立派な風よけを作り上げた親父。
普通であれば喜ぶべきところであろうが、一つ問題があった。。。

実は我々が糸を垂らしていた穴は 2つあって、親父が雪の壁を積み上げたところは、
弟と母が糸を垂らしてた穴の周辺で、少し離れたところで 糸を垂らしてたおいらの穴の
周辺は 依然として 吹きさらしのままだったからだ!
おいら「なんとかーっ!」
とは 当時は叫ばなかったが、小学生ながらに 理不尽な親父の振る舞いに 右手をギュッと
握りしめたのは覚えている。

それでも 寒さを我慢し 糸を垂らしてたいたところ、さすがに母親が見かねて声をかけてくれた。
母「それでは兄ちゃんがあんまりだ。 ここ(壁の内側)に新らしい穴をあけてもらえ」
親父はしぶしぶといった感じで、ドリルを持ったオッチャンを呼びに行った。
おいらは期待に胸を躍らせた。
やがて、親父の案内で我々のところに寄ってきたオッチャンは 壁の内側を一瞥すると、
こんな絶望的なことを言った。
おっちゃん「ここは 固くなっているからもう穴はあけられないねえ」

そう、内側の穴周辺は 雪の壁を作り上げる過程で 親父にしっかりと踏み固められ、
もう新しい穴はあけられないというのだ。。。
おっちゃん「ここなら開けられるけどねえ」
親父「おい、兄ぃ ここでいいか?」
おいら「・・・・・」

親父が指差した場所は、壁の近くではあったけど、壁の外であり、いままで糸を垂らして
いた吹きさらしの穴となんら状況は変わりないのでないのか?
そんなことは 小学生だったおいらでもわかった。 絶望感で胸が一杯であった。
おいら「、、、いや、もういいです、、、、」
親父「なんだ?、 ここに開けてもらうぞ!」
親父は、オッチャンを呼んできた手前か、おいらの態度に少し怒ったようになり、結局
壁の外に 新しい穴をあけてもらった。
おいらも 半ばやけくそで、 その新しい穴で 寒さに耐えながら 糸を垂らし続けたが、
相変わらずその日は 最後まで まったく釣れないままであった。

家に帰り、優しい母親は 体を温める一番風呂を おいらに促してくれた。 風呂に入り
ながら ふと髪に手をやると、後頭部部分が 凍ったようにバキバキになっていた。それほど
過酷な状況に置かれていたのかと思うと、すこしだけ悲しくなった。

そんな、元祖KYだった親父も 亡くなってかなりの時間がたつが、家族で出かけた
ワカサギ釣りは 今となっては 良い思い出である。 凍える湖の上とは対照的な 夏の
まぶしい海を眺めながら、そんなことを思った、今日この頃なのであった。

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